熱い男の戦い「機動戦士ガンダムⅡ 哀・戦士編」レビュー 評価はまだありません

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あらすじ

ホワイトベースの戦いは続いていた。ランバ・ラルのグフ、黒い三連星のドムがホワイトベースを襲う! 連邦軍のオデッサ作戦が進行する中で、アムロはかけがえのない人たちを次々と失っていく。ランバ・ラルとハモン、マチルダとリュウが生命をかけて戦い、散華するさまに、アムロが見たものは何か。死と生の交錯する戦場で、アムロのニュータイプへの覚醒が始まった!

 

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副音声

二作目の哀・戦士副音声は、今回も司会にアニメ・特撮研究家の氷川竜介さん。そしてゲストにガンダムユニコーン原作者の福井晴敏さんです。当時小学生だった福井さんのガンダムに対する思い出話を交えた副音声で、前作の制作スタッフの裏話とはまた違った、当時のファンの気持ちを代弁してくれるようなトークで、こちらも非常に面白かったです。

 

哀・戦士は話が動く

前作は壮大なガンダム物語のプロローグであると書きましたが、哀・戦士は話がガンガン動きます。色んな意味で動きが激しいパートで、最もワクワクするパートかも知れません。テーマとでも言うべき物は、戦争の激しさや悲しさなんて大規模な戦争にスポットを当てた作りになっています。

 

ランバ・ラル、マチルダ、ミハル、ウッディーなど重要なキャラがどんどん死んでいきました。またドムのジェットストリームアタックや連邦の本拠地ジャブローで大規模な戦闘が起こったり、本当に目が離せない展開が続き、ジェットコースタームービーとなっています。

 

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しかし彼らは無茶をして死んでしまいました。マチルダは輸送機でドムに突撃。ミハルは素人なのに戦闘に参加。ウッディーも婚約者のマチルダと同じく、ファンファンでよりにもよってシャアに突撃。そりゃあ死にますよ…。

 

ガンダム三部作でどれが一番好きかってのもファンの間ではよく言われることですが、私はやはりⅡの哀・戦士かかⅢのめぐりあい宇宙ですね。この哀・戦士はとにかく戦争にスポットを当てていて、音楽も相成って非常に勇ましい話になっています。

 

一作目公開から四ヶ月後のスピード公開

これは驚くべき事なのですが、一作目の公開は1981年3月14日。そしてなんとこの哀・戦士は1981年7月11日公開です。一作目が公開終了してから四ヶ月後じゃないですよ。一作目の公開から四ヶ月後に二作目が公開されたんです。これは副音声でも、驚異的なスピードで作ったと言っていました。ちなみに三作目は翌1982年3月13日公開で、二作目の公開から約七ヶ月後ですね。これでも早いんですけどね。

 

ランバ・ラル

この哀・戦士の最初は、ランバ・ラルとのエピソードで占められています。

 

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前作の記事でそれぞれに事情があり、ジオンにも戦う理由があると書きましたが、このランバ・ラルもその例のひとつでした。説明が抽象的で子供の時はさすがにわかりませんでしたが、セイラのと関係、ランバ・ラルの過去、ジオン・ズム・ダイクンやジオン建国なんかの相当重要なエピソードが、このランバ・ラルを通して明かされました。ちなみにランバ・ラルは35歳です…。どう見ても50歳前後に見えるのですが…。

 

お色気要素も

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マチルダ、ランバ・ラル、ミハル、ウッディーの死、苛烈な戦争だけではなく、それに加えてお色気シーンなんかもありました。

 

アムロ脱走

アムロは等身大の主人公で悩みもしますしくよくよもするのですが、その最たる例がこのアムロ脱走エピソードでした。しかし脱走するにしても、ガンダムと言う連邦最高機密を勝手に持ちだして家出するとは…。この辺アムロが結局大人になりきれていない、自立できていない描写でもあります。

 

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そしてこのエピソードで敵のランバ・ラルと出会うのですが、敵と言っても部下思いであり、良い上官の姿を見て、アムロはますます敵とは何なのか、戦う意味とは何なのかを考えるようになり、視聴者もジオンイコール悪ではないことを知りました。

 

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またこの時にアムロは食べ物を恵んでくれると言うハモンに、「僕乞食じゃありませんから」と言うのですが、これはBlu-rayではきちんと収録されているのですが、スカパー!で放送するときは、毎回この「乞食」部分は無音処理されています。最近は番組開始前に「この放送は当時を尊重して放送します」とテロップを入れれば、地上波ではとても無理なような放送禁止用語や描写、それに類する物も放送できるようになってきたのですが、未だに「乞食」は無理なんですね。

 

アムロの言い分とブライトの言い分

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アムロがこの脱走で訴えたかったことは、「自分は頑張っているんだからもっと認めてくれ」ってことで、ブライトはあくまで軍の立場から、「特別扱いはできない」との物でした。これはどちらの言い分もわかるんですよね。

 

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アムロの立場はあくまで軍人ではなく、仕方なく協力している民間人でしかありません。一方ブライトは正式な軍人で、戦争をすることが仕事であり、勝つことが命題です。この二人の立場の違いもこのエピソードで浮き彫りになりました。まあでもアムロは子供ですよね。生きるか死ぬかの戦争に巻き込まれながらも、戦いたくない、自分をもっと褒めてですから。わかるんですけどね。

 

オデッサ作戦は全カット

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この劇場版では、連邦の地上戦では最大の作戦だった、オデッサ作戦を完全にカットしていました。これはかなり大胆な判断だったと思いますが、あくまで連邦の大規模作戦であり、ホワイトベース部隊は主役にはならないほどの大きい戦いだったので、結果的には妥当な判断でした。連邦将校エルランの裏切りがあったり、水爆なんてでき事もあったのですが、ナレーションと簡単な図解だけで違和感なく纏まっていました。

 

カイの成長とミハル

アムロの脱走に続いてカイの離脱もありました。カイの場合は脱走ではなく、半舷上陸を理由に陸に上がり、そのまま戻らないとのことらしいですが。

 

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カイは捻くれていて皮肉屋なのですが憎めません。話が進めば進むほどカイの格好良さが出てきて好きになっていきました。そのカイが劇的に人として成長したのがこのミハルのエピソードでした。しかし実はこのミハルのエピソードは、オデッサ作戦と同じく全カットされるかも知れなかったんです。

 

映画は当然時間に制限があるので、制限時間内に収めるには、オデッサ作戦のようになにかしらをバサバサカットしていかなければならないのですが、それにミハルのエピソードが候補に挙がったんですね。具体的には、カット派が総監督の富野さんで、カットしない派が作画監督の安彦さんでした。

 

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これはカットしなくて正解でしたね。これがなければカイが劇的に成長した理由が描かれないので、カイという人物の存在理由が消えかねませんでした。

 

ニュータイプの描写が早まった

TV版ガンダムでは、ニュータイプとの言葉や描写が35話を超えてから急に出てきたのですが、劇場版ではこの哀・戦士のマチルダさんが言っているんですね。この辺のおかしかった所もきちんと修正しています。このニュータイプの出方なら、かなりスムーズに言葉や概念を受け入れられますし、その後説明や描写をする時間も十分にあったので、ガンダムと言えばニュータイプってくらいに認知されました。

 

音楽の力

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この二作目の劇場版と言えば、井上大輔さんが歌う音楽の哀・戦士でしょう。この勇ましい歌が苛烈な戦闘で掛かるところがたまらなく格好良く燃えるんです。ところが悪名高い特別版だと、この勇ましい哀・戦士がジャブローでは掛からず、なんとエンディングのフラミンゴが優雅に羽ばたく場面で掛かるんです。これはハッキリいますが最低最悪でした。そう思ったのは私だけではなく、ファンから大ブーイングで、結局オリジナル音声版がその後復刻し、このBlu-ray化でも特別版は「オマケ扱い」となっています。

 

オリジナル音声版の哀・戦士の話に戻ると、非常に細かい演出がされているんです。勇ましい戦闘の歌なので、一瞬ジャブロー基地内に場面が移り、将校がのんきに会話をしているシーンでは、曲が一時停止するんです。この辺の演出もゾクッとしました。そう。あくまでこの曲は戦闘の歌なんですよ。

 

しかしこのジャブローの戦いは本当に激しくて、まさに生きるか死ぬかすれすれの戦いを至るところで行っているのが分かり、非常にゾクゾクしました。ホワイトベース部隊やガンダムは主人公なのですが、戦局を覆すほどの影響力はなく、あくまで物凄く強い一部隊である事も認識させられました。どんなに強かろうが、大きな戦争の中ではあくまで局地的な突風に過ぎないんです。それはライバルのシャアにも同じ事が言えて、アムロとシャアの戦いなんて、大局から見れば実に小さなでき事なんです。

 

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勿論、白い悪魔とまで言われるほど噂が広まっているほどなので、全く戦局に影響がないとは言いませんが、それでもやはり大局から見ると限定的な影響なんですよね。主人公が戦局を左右するようなスーパーパワーではない事もガンダムで新しかったことのひとつです。

 

それまでのロボットアニメと言えば、主人公の一挙手一投足で勝ちか負けが決まっていましたからね。このガンダムではその場その場で起こる戦闘に生き残るのが第一目標で、誰も大局に影響を及ぼせるとは思っていないんです。みんながみんな戦争の中では、自分達がちっぽけな存在だって事を知っているんです。

 

ジムの格好良さ

哀・戦士が掛かるジャブローの戦闘前に、ジムが工場で生産されている状態で初登場しました。

 

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子供の頃はジムは弱すぎて格好悪いと思っていたのですが、大人になってみるとジムの無駄のないシンプルナフォルムや曲線美に気付き、眺めるとうっとりするくらい好きになってしまいました。また1stガンダムでは出て来ないのですが、ジムはこのあともガンダムシリーズには出てきて、あらゆる派生形のジムがあり、またそれがそれぞれ格好良いんですよ。元々がシンプルなフォルムだからこそ、色々手を加えて違うバージョンが作れるんです。

 

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これはザクでも不可能な展開なんです。ザクもガンダムを代表するモビルスーツなのですが、派生バージョンの数では圧倒的にジムの方が多いんです。ザクもある程度シンプルなデザインではありますが、肩にトゲがあったりパイプがあったりして、ジムほどシンプルなデザインではないので少し弄りづらいんでしょうね。そういう意味では、ジムの究極にシンプルなデザインが後々役に立つことになったんです。

 

新型メカ続々登場

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今作はジム、ドム、ズゴック、ゴッグ、ゾック、アッガイと新しいモビルスーツがたくさん出てきました。一部格好悪いモビルスーツもあったのですが、それでもバラエティに富んだモビルスーツが出た事により、戦闘も豪華になり、見ていて物凄く楽しくなったパートでもあります。

 

少しガンダムの世界観とは離れしたモビルスーツもあるのですが、こうやってたくさんの種類のモビルスーツがあったからこそ、その後のガンプラブームに繋がり、それが回帰しアニメの人気再燃にも繋がったんです。

 

宇宙へ

哀・戦士の終わり方は凄くワクワクしました。特に何かを期待させるような映像ではないのですが、宇宙から地球へ、そして今回また宇宙へ飛び立ち、激しい戦いと新しい物語の予感を静かながらさせて終わるんです。

 

地上の世界は私たちが普段生活しているところですし、戦争も無数に起こっているので、どう言う戦いになるのか、どう言う風景なのかわかるのですが、宇宙での戦争なんて誰も経験したことがないので、その状況だけで未知の物語にワクワクするんです。初期にも宇宙での戦いはありましたが、あくまで小規模戦闘で散発的でした。これからは物語が終わりに近付いていくので、総力戦になることを予感しました。

 

宇宙の戦闘に関しては次回のレビューに譲りますが、めぐりあい宇宙の宇宙描写が素晴らしいんです。

 

こんな人にお勧め

  • ガンダムが好きな人
  • DVDから更に高画質が欲しい人
  • 副音声で裏話を聞きたい人
  • いわく付きの特別版を欲しい人

 

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