漫画全話レビュー「めぞん一刻 第029話「私は負けない!!」」 評価はまだありません

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掲載情報

掲載雑誌
  • ビックコミックスピリッツ 1982年4月30日号

 

アニメでは

 

時系列とでき事
  • 1982年4月11日 音無響子、音無老人と両親と惣一郎さんのお墓参りへ行く

 

この頃のでき事
  • 4月 - 森永製菓が「おっとっと」を発売。
  • 4月1日 - 一般国道391号 - 449号が昇格(1981年4月30日に公布された政令第153号の施行)。
  • 4月1日 - 500円硬貨発行。
  • 4月1日 - 福岡県太宰府市が市政施行。
  • 4月1日 - 植田まさしの4コマ漫画「コボちゃん」が読売新聞朝刊で連載開始。
  • 4月1日 - 熊本県民テレビ(KKT)開局。
  • 4月2日 - アルゼンチン軍がイギリスと領有権を争っていたフォークランド諸島を占領(フォークランド紛争勃発)。
  • 4月16日 - 日産自動車が「リベルタビラ」を発売(「パルサー」・「ラングレー」の姉妹車で、「バイオレットリベルタ」を継承)。
  • 4月20日 - 福岡市地下鉄空港線の天神駅 - 中洲川端駅間、福岡市地下鉄箱崎線の中洲川端駅 - 呉服町駅間がそれぞれ開業。
  • 4月26日 - 韓国南部の慶尚南道宜寧郡宮柳面で警察官の禹範坤がM2カービン銃2丁と実弾180発、手榴弾7発を使って57人を殺害する。

 

あらすじ

惣一郎さんの2周忌でお墓参りに行く響子さんと音無老人と両親。音無老人はこのままではいけないと響子さんを諭します。一方その頃、五代君はこずえちゃんの罠にはまり、両親に紹介されてしまいます。

 

みどころ

  • こずえちゃんの策略
  • 音無老人の話

 

はじめに

このエピソードは実は結構重要な話なんです。

 

めぞん一刻を深く愛している方には今更なのですが、めぞん一刻の総集編である、「めぞん一刻 移りゆく季節の中で」では、この音無老人のセリフから総集編が始まるんです。これについては後述しますが、音無老人の話が実に良いんです。

 

総集編の冒頭にこの話が入ると言うことは、端的に響子さんの立ち位置を表している話なんです。

 

めぞん一刻 完結篇はアニメオリジナルストーリーなのですが実は結構好きです。テレビアニメのオリジナルストーリーはそれは酷い物が多かったんですけどね…。この完結篇は好きなんです。絵柄がテレビアニメや漫画とまるで違うので、そこに違和感は感じるのですが、話自体とエンディングの歌「硝子のキッス」が良いんです。

 

楽しく終わらせる工夫

響子さんと音無老人と両親で惣一郎さんの2周忌のお墓参りへ行くのですが、その前に一旦五代君とこずえちゃんのお話があります。

 

めぞん一刻は終盤まではドタバタコメディとラブコメの体を守っているので、基本的にいい話だけでは終わりません。所々に笑えるパートを入れてバランスを取るのですが、このバランス感覚が初期から中盤に欠けてはたまらないんです。

 

ただしんみりして終わりとなることは少ないです。桃色電話やキャンパス・ドールのように、ほっこりする話でオチることはあっても、しんみりして終わることはほとんどありません。この辺はドタバタコメディとして楽しく読んで貰うことを意識していたのかなと思います。

 

 

そのおかげで、この話は悲しいから読みたくない、辛くなるから読みたくないなんて話はありませんでした。旦那が亡くなっているので、泣かせる話にしようと思えばいくらでもできたと思うんですけどね、安易に泣かせに来なかったのは素晴らしいと思います。そのおかげで常に楽しい気持ちで読めました。

 

こずえちゃんの策略

今回出てきたこずえちゃんの策略の話をすると、これもめぞん一刻の勘違いパターンの一つで、「必要な情報を伏せて騙し討ちするパターン」ですね。ただこの時のこずえちゃんは、何も知らせないにも程がありますが…。

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何をするのかは勿論、どこに行くのかすら五代君に言いませんからね。また、そこまで知らされていないにも関わらず、五代君は特に疑問も持たずに素直に従ってしまうところも面白さの一つで、五代君の性格を良く表しています。

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こずえちゃんは両親に五代君を付き合っている彼だと紹介してしまうのですが、このシーンは有名で、めぞん一刻のゲームだと、ここでこずえちゃんの誘惑に負けてキスをしてしまうと、ゲームオーバーになってしまうんです。これは強烈で今でも良く覚えています。こずえちゃんとくっつく=ゲームオーバーと言うのは、こずえちゃんにとっては失礼極まりない話ではありますが…。

 

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人格者音無老人のお言葉

音無老人は初登場から一貫して響子さんの味方で、自分の幸せのために再婚して良いんだよと諭すのですが、その考え方や響子さんの立場、内心が簡潔に語られました。響子さんはいつも強がって本心を中々言わないのですが、ここではこの頃の響子さんの気持ちが明確に明かされたシーンでもあります。

 

音無老人「しかし、いつまでもこのままでいるわけにはいきませんなあ。わしもいろいろ考えたんだけどね、このままじゃいけないんだよね、やっぱり。響子さんもまだ若いんだから、そろそろ音無家から籍をぬいてやり直した方が……昔は夫が死ぬとね、墓に赤い文字で妻の名前も書き入れたんだよ。未亡人、まだ死んでない妻ってことだよね。でも違うだろ?死んでないのじゃない、生きてるんだ。忘れなくちゃいけないよ惣一郎のことは……」

 

これが総集編の冒頭で流れる音無老人の言葉です。正論です。

 

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そして響子さんのこれに対する返答が今の時点での素直な心境です。

 

音無響子「まだわかりません。自分がどうしたらいいのかわかるまで……惣一郎さんの姓を名乗っていたいんです。

 

響子さんもわかっているんです。このままじゃ駄目なことを。ただ駄目だと分かっていても前に進めないことなんて人生ではよくあることで…。理路整然と出した論理的で得な結論に常に迷わず行ける人など人間である以上中々いませんからね。響子さんの葛藤を良く表していました。

 

きちんとオチる

最後は響子さんのお墓参りでトラブルがないか心配した五代君が、時計坂駅まで迎えに行くのですが…。響子さんと両親の強烈な会話の応酬に圧倒され、自分の存在にすら気付いて貰えませんでした。

 

前述もしましたが、こうやってしんみり一辺倒で終わるのではなく、きちんとドタバタコメディの形の通り、くすっと笑って楽しい気持ちで終わるんです。

 

めぞん一刻は読んで幸せになれるとても珍しい漫画だと、アニメ全話レビューでも書きましたが、これがめぞん一刻を読んで幸せになれる一つの要因です。

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そしてこの強烈な家族の中に入っていくことになる五代君の苦労を示唆していました。

 

総評

これで4話連続で続いた響子さんと両親のエピソードは終わりました。これまでは基本的に1話完結物だったので、続き物であり、更に4話連続との大型のエピソードに、新たなめぞん一刻のスタイルを見ました。

 

1話ごとにきちんとオチも付けつつ、それでいてきちんと続き物のストーリーになっているんです。こうやって言うのは簡単ですが、実際にそういった話を作ろうと思ったらそう容易いことではないですよね。さらに言えばこの頃のめぞん一刻はドタバタコメディなのですから。

 

これまでほぼ全て1話完結(皆で海に行った話だけは2話)だったのですが、いきなりこのような4話ぶち抜きの大型エピソードですからね。普通は違和感を感じたり、無理が出ると思うのですが、そういったことが一切なく、高橋留美子さんの凄さを改めて感じます。

 

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